7.31.2014

独白を超越したいなと。

言葉を紡ぐ。

ぼくはひたすら独白という形でこうして書いているが何かを生みだしてもいいのかもしれない。ちょっと孤独に倦んできたところだ。鳴らない携帯、返事のないLINE――クソッ!
そんなぼくにとって、この種の逸脱は不思議でわくわくすることだ。

例えば、六歳の少年を生みだしてみようか。彼をオートバイの後ろに乗っけて、いまから夜の旅に出てもいいかもしれない。ぼくは人生の味と、風になることを彼に教えてやるのだ。ぼくは彼のヒーローになる……。
あるいは二十歳の少女と遊んでもよい。ボブカットにちょっとした斜視がミステリアスでかわいい彼女と、近所のうまいスープカレー屋で腹ごしらえした後、静かなバーで語らう。
暗がりの中さりげなく手に触れる。もちろんその後何をしようと、ぼくの自由である。ぼくが彼女を誘惑しても、彼女がぼくを誘惑しても良い。いずれにせよ結果は同じことだ。スープカレーはバカみたいに高いし、バーの酒も法外な値段がするが、それは表現という舞台の上だからぼくの財布は傷まない!すばらしいことだ。
ところで今こうしているぼくの後ろに、三人の死神を生みだしても、自由というわけだ。あるいは君の後ろにでも、それは構わないのだよ……。

夢のような広がり、無限の逸脱だ。作家にしかもちえない感覚だ。ぼくらは綱渡り師を見ても、「彼のどこがすごいのか?」わからない。見ている側にはすべてが自明だ。そう、バランスを取っている、途中危うげに見せるが、最後には渡り切る、自明だ。
ただ同じ綱渡り師のみが、彼の偉大さと胸中の葛藤を知る。あるいは未熟さと怠惰も。
小説も同じであると思う、映画通が映画を見るときと同じようにそれは監督との対話に繋がる。対話でなければ、監督の独演である。

それにしても、小説でキャラクターを登場させようというとき……。それは人間を産みだそうというホムンクルス的な涜聖を感じる。小説ではキャラクターを生み出す。当たり前のことだ。しかし、何か人間のしていい領域を一線越えているようにも思う。
例えば「アトム」はぼくらのだれもが知っている。なかには友達のように感じている人もいるだろう。しかし、実際にはあんなロボットは存在しない。それなら「アトム」は存在しないのだろうか?あるいはファウストは?ラスコーリニコフは?……仏陀は、キリストは……

神も仏もいない!と主張することは正しいと思うが、神や仏はだれもが存在を認める以上、やっぱり存在するのだと思う。だって、「あなたは存在しないのだ」と言われて納得できるか。神は概念である、と言ってみたところで、君自身が概念であることは否定できない。
人は人間を生むこともできるし、かつては神を生んだ人間もいた。創造とはまず第一に冒涜の性格をおびている。

おっと、だれか客人がきたようだ。アマゾンの商品が届いたかな……。

「おっすー。近くまで来たから寄ってみたよ。相変わらず汚い部屋だね。燃えるゴミはすぐに出さないとゴキブリ沸くよ。はい、ビール二缶ね。あがるよ。文句ないよね。やだ、足の裏がべとべとする!ちゃんと濡れ布巾で拭きなよ、もう……」

と後輩なのにため口の生意気な女の子(そして溢れる生活力と清掃力、ついでにくどいくらい艶々した黒髪を兼ね備えた)が来てくれたら!孤独にこれを書いているぼくは、迷惑そうな顔をしながらも、彼女のために客椅子の埃を払ってやるだろう……と思ったりする。


思ったり、する……。「思ったり、する!」この控えめな表現がぼくの羞恥と頬の赤みを表している。

独白とは、簡単なものだと思う。これを読んでいる君に向かって、ただぼくは身振り手振り、何かを伝えればよい。ところが、何かキャラクターを生み出すとなるとそうはいかない……。ぼくは虚空に向かって、何者かをつくろうとこねくりまわしている。君はその努力をしぶしぶ認めながらも、その稚拙さ故に、一生懸命なにかを描こうとしているぼくの存在が気になってしかたがないだろう。

始めは、そんなものだ。しかしぼくは誰かが見ている中、「パフォーマンス」をするような度胸はない。ぼくは誰かの目を意識すると途端に身体が麻痺するタイプの人間である。
私が見知らぬ場所で、何人かの見知らぬ人、あるいは私がそう思う人と一緒にいるとき、部屋全体が胸を圧迫して、私は動くことでさえできなくなる。そして、私の人格そのものが彼らをいらいらさせているように思われて、全てが絶望的になる――カフカ

ぼくが最上の創作ができるとしたら、ただ自分の存在を無に帰すことができたときだろう。そして、キャラクターは自然と踊り出す!すでにひとつの生命を宿されているのだ。これはぼくが創作の極意を得たからではない。ただぼくが、その極度の照れ症だから、隠れようとした結果である。



まあ何でもいい。こう毎日書いていると、何かこう孤独に倦むのだ。慰みに会話の相手も欲しいものだよ。しかしぼくの性格上、生身の人間は受け付けない。不潔だ。ぼくの理想とする善人、悪人たちに囲まれたいと思う……。それだけの技能はまだないのだけど。

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