2.02.2015

老婦人

朝顔に つるべとられて もらい水 (加賀千代)
スーパーで半額弁当や菓子パンを買いこんでいく老婦人を見ると、悲しくて悲しくてやりきれなくなるのはぼくだけなのだろうか。

サラリーマンや貧乏学生が半額弁当を買うならいい。だが、おばあさんが買っていくのは嫌だ。心の底から嫌な組み合わせだと思う。

息子を一人前に育てあげ、娘が結婚したときには、そして孫の顔を見たときには、涙を流しただろう、老婦人。ぼくのたわいない浅知恵を吹き飛ばすような、質量をもった経験と智慧をもっているだろう老婦人。

そのおばあさんが、腐りかけの、ガラクタみたいな弁当を食べている……というのは、まことにやりきれない。

ぼくの祖母はまだ存命だが……。彼女はまだ料理を自分で作り、そうして、農作業もしている。広い家を毎朝掃除し、祖父の介護をするかたわら、庭には花も植えるし、漬け物を作ったり、こんにゃくを作ったり、忙しい、しかし充実した日々を送っている。

なにも、ぼくの祖母のような生き方が正しいとおしつけたいわけではないが……。

東京の老人たちは、妙に、悲しい。



スーパーで見かける老婦人たちはどのような生き方をしているのだろう?

あまり、考えたくはない。彼女たちの部屋に、弁当のポリエチレン容器が積み重なっている光景というのは、ぼくの価値観でいえば、不幸でしかない。

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