3.12.2015

愚痴こそが人生のすべてと

考えてみれば、新しく従業員を雇いとろうと考えている会社は、成長しているか、成長が望める会社に違いない。

オーナーの奥さんは、その辺にいそうなおばちゃんに見えて、高級フレンチを芋煮でも食うかのように平らげ、夜は巨大なリゾートマンションに帰っていくのだからいささかシュールである。

日本国民の数%は、億単位の資産を持っていると聞いたことがある。金はあるところにはあるのだ。ただ、ぼくらが気づかないだけで。

ブックオフに行くと、ちくま文庫のところに田辺聖子があったので読んだ。そのなかには、「学生は物質的には貧しくとも精神的には豊かである」というようなことが書かれていた。

気に入ったフレーズが一行でもある本は、手元に置かなくては気がすまなくなる。いちど本に愛情をもってしまうと、もういけないのだ。そういうわけだから、360円ばかりを出して、本を買った。

もともと田辺聖子は好きだ。若い男で田辺聖子を好むひとがいるのかはわからないが、ぼくは好きなのである。彼女は「おかん」であって、田舎の「おふくろ」とはまた違い、東京的な「お母さん」でもない。まあ、おばちゃんというのは、おかんというのはこういう感じだよな、という偶像として田辺聖子は良いのだと思う。

それにしても、金銭ということに、ぼくはひどく混乱している。昨日食べた伊勢エビだとか、巨大なアワビとかは(奢ってもらったのだが)、たかがランチに、数万円は使っていた。数万円だ。一万円ではないぞ。2,3万円は使っていた……。

伊勢エビにしたって、エビと比べれば少し上等というくらいだ。カサゴとか、確かに、うまかったが。

ブックオフにいるぼくはといえば、108円の本と、360円の本を比べて、360円の本を買うことに戸惑いを感じるのだが(なにしろ本は読めさえすればよいので、たしょう汚くても、それはかまわないのだ)、世の中というのはよくわからない、カクサシャカイだ、と言われれば納得はするのだが、どうやらほんとうにそういった社会であるらしい。

ぼくは四月からはたらくことになるが、ぼくの給料は、かなり高い。学生時代は、月に10万円以下で生活していたが、これからは、その何倍もの給与を得られる。もはや、この荒波の前には、108円と360円の金額差、その金額差に呻吟する苦悩とか……喜びとか、繊細さというものも、かき消えてしまうのだろう。

ぼくは、この点を明確にしておきたい。金には決して溺れたくないのだ。たしかに、金は高級車を約束するし、高級な人びととの交流とか、高級な生活を約束するけれども、それ以上ではない。ぼくはいまのところ、金持ちではない。だからわからないが、たぶん、金というのは、むなしいものである。

金は、むなしいものである。

人間存在のだれもが、金ということに頭脳を拘束されてしまっている。貧しい人は当然そうだが、金を持っているひとも、金をもっと稼ごうとしてしまう。女を「産む機械」と呼べば職を追放されるが、人間を「稼ぐ機械」と言っても、非難は受けない、なぜなら事実そのとおりだからだ。ニュースを見ても、GDPがどうのこうのということばかりだ。

金がもたらすものはわずかな喜びでしかない。

ぼくは、たいへん悲しいのである、金をつかもうとして、世のひとびとは暴れ回る、この金は俺のものだ、と。ときには、人間を殺しもする。金が欲しいがためにだ。それでも、金を得てしまうと、案外つまらないものだ、ということがわかってしまう。

人間の生という不思議がある。人間という生の不思議の前には、金など、なんの価値もない。贅沢品はいくらでもある。ブラックタイガーの代わりに、伊勢エビを。あさりの代わりに、あわびはいかがですか。ああ、バカ、バカ!そんなことではない。

人間は、勝手にグラデーションと、階級をつくられて、それをよじ登れ、と命令されている、それで一段階あがるごとに、素朴な人間は喜んでいる。バカなのか?どこに品位を捨ててきたのか、馬鹿者が。

ぼくは辛い。辛い。辛い。ぼくは辛いのだ。獅子は駆ける。気高く走る。カモメは飛ぶ。悠々と、飛んで、それで、すべてが充溢している。

人間は何をしているのだ。人間は、何をするよう、しむけられているのだ。人間は、気高く生きることを許されていないのか。

人間にだけ、悪が存在し、人間だけが、人間を道具にしてしまう。自由に生きているように思えるぼくらだって、歴史に翻弄されているのだ。

人間は、しょせん、無力だ。

なにも知らずに死んでいくのだ。ぼくは。ただ生きて、死んでいくことには、かわりない。みなさん、死というものが、怖くないのですか。と、ぼくは問いたくなる。

なにも成せぬのだ。すべて相対的なものは沈んでいくのだ。そうして、絶対的なものなど、なにもない。なにもないということだけが、絶対的だ。釈迦も、イエスも、決して救ってはくれない。早く気づくべきなのだ。

今日はひどく酒を飲んでしまった。痛飲という奴だ。

それにしても思うのは、ぼくは人間存在の大通りを歩んでいるということである。大学生は精神的に豊かで、物質的に貧しい。これからは、物質的に豊かで、精神的に貧しくなるのか?それだけは、ごめんだ!と思っていても、そうなってしまうのかもしれない。

見苦しい文章で申し訳ないが、今日は、これだけ捨て置くようにして、寝てしまおう。明日もまた忙しいのだ。

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