4.25.2015

西洋思想におけるゾロアスター

端的にいえば、アリストテレスは生物学を追求し、プラトンは数学を追及した。

理系の人間ならわかるだろうが、理系の学問はひとつのグラデーションをなしている。すなわち抽象と具象の二極である。もっとも抽象的な理系学問は数学であり、つぎに物理、化学、そして生物、と区分されていく。

この説明ではもっとも具象的な学問は生物ということになるが、さらに医学や工学を加えてもいいだろう。数学より抽象的な学問も、哲学や神学があるといえる。

ともあれ、プラトンーアリストテレスの関係は対極に語られることが多い。

ソクラテスはどこに位置したかといえば、このユニークな人間は、学問的な領域に属さない。なぜなら彼は知りようのないことは考えても無駄だと考える、感性の人間だったからだ。ソクラテスは、世界がいかに構成されているかに特別な関心を抱かなかったようである。人間の持つ能力の限界を知っていたのだろう。

プラトンという人間は、人類の知の歴史において、これ以上ないほど重要な人物である。そもそもが、ソクラテスの思想はプラトンによって広められた。ソクラテスは本を書かなかったから、プラトンが執筆・出版したことによりソクラテスの思想が現代まで残っていることになる。

プラトン自体の思想も極めて重要であり、キリスト教に影響を与えた。それはパウロが深くプラトニズムに感化を受けていたことからもわかる。

「人間の不死性は、部分的にキリスト教会に取り入れられたプラトン主義的宗教哲学の基礎的な信条の一つである。」 (Werner Jaeger, “The Greek ideas of immortality”, Harvard Theological Review, Volume LII, July 1959, Number 3, 筆者強調 ).引用元 
ついでに言えばカントにも深く影響を与えているようで、哲学史を単純化すれば、実に2000年の間、プラトンの思想は生き続けていたことになる。ところがニーチェが脱カント―プラトン的な思想を示したことにより、人類の精神はプラトンの独裁から逃れることになる。それがすなわち、「神は死んだ」である。

さてそのプラトンの思想はどこからやってきたのか?もっとも、師であるソクラテスの影響は色濃いだろうが、しかし、ぼくがもっとも気になるのは、ピュタゴラスとの関係である。単純に考えれば、数学という点でプラトンとピュタゴラスは共通点を持つから、ありうる話ではある。

それでは、そのピュタゴラスの思想はどこからきたのだろうか。これは有名な話だが、ピュタゴラスはゾロアスター教に強く影響を受けていたとされる。

以上をまとめると、新しい系譜ができあがる。ゾロアスター⇒ピュタゴラス⇒プラトン⇒カントの流れである。

それにしても、「ツァラトゥストラ」とはゾロアスターだから、これは奇妙な符合である。ゾロアスターの系譜であるプラトニズムを、ニーチェがゾロアスターの名を借りて破壊するのだから。

古代ギリシャに精通するニーチェだから、すべてを知りながら、あえてゾロアスターの名前を借りたのかもしれない。あるいは、神がかり?ともかんぐってしまう。あれだけの完成度の詩篇を、数日で書き上げたというのだから、よくある神示のようでもある。

実際のところ、現代に残るゾロアスター教と、「ツァラトゥストラ」の内容はほとんど関連はないとされているようだ。

ともあれ、西洋思想史において、ゾロアスターという人物が極めて重要な人物であるように思えてならない。もう少し勉強してみたいと思う。


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