3.11.2016

史上最大の詐欺師

小浜逸郎という人物、長くて読みにくいブログ(直言のなんたら)を書くという人物だと思っていたら、何冊か本を書いていたようで、その本が意外とおもしろかった。

「13人の誤解された思想家」というタイトルで、カントやプラトンやニーチェ、ハイデガー、フロイトやマルクスなど現近代思想に多大な影響を与えた大御所たちの思想を、率直な意見や疑問で批判的に吟味するという本。小浜という人物、ブログは読みにくいが書籍は平易で読みやすい。

13人の思想家はすべて西洋人であるが、基本的には筆者の価値観はアンチプラトニズムのようで、デカルトやウィトゲンシュタインのようなプラトニズム的・キリスト教的な理想主義者を切り捨てている。というかプラトン自体を「哲学史上最大の詐欺師」とこき下ろしている。

アンチプラトンという点で小浜氏と私の考えはよく似ていると感じた。というか彼自身ニーチェにおおいにかぶれたというから、考えが似るのは自然とも言える(後に「人とうまく和していくことができない、気難しい性格」ではなくなり、ニーチェを客観的に評価できるようになったらしい)。

しかしまあよくもこれだけの人物を批判できたものだと思う。私はマルクスやカントなどまともに読めたことがない。私の好きなルソーも敏感な神経をもった変人といった具合に批判されていた。まあそのとおりだと思うし、私も敏感な神経をもった変人だから、ルソーが好きなのだけど。



西洋思想を権威づけていたプラトニズムが、あらためて問い直されつつある時代だと思う。「早すぎた」ニーチェから100年以上経つが、「逆立ちした価値観」をひっくり返すことができるのだろうか。プラトンの「詐術」は2000年以上西洋を支配しているしまた日本をはじめとする非キリスト教国家でさえ効力を持っている。

それに抵抗する人物もあっただろう、たとえばソクラテスを処刑したアテナイの人々とか、鎖国した徳川将軍とか。また現代であればISISもそうなるのかもしれない?まあいろいろなことを考えた。

それにしてもこういう新書(1700円!)を気兼ねなく買えるというのは、社会人の特権である。それに、いまのように――仕事中だというのに記事が書けるのは恵まれた環境と言えるかもしれない。小浜氏は、中島のおっさんとの往復書簡のような本も出版しているらしいので、それも読んでみたいと思う。

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