7.27.2016

セックスのゴム

Sはとてもおもしろい女だ。

今日は仕事が終わったあとに、Sと一緒に家に帰った。それで私は酒を飲み、Sはひたすらにしゃべった。

Sが東京で夜の仕事をしていたときのことを聞いた。キャバクラと、ガールズバーの間くらいの水商売らしい。いろんな客がいたという。それはさながら、雑多な病気を抱えてくる患者のようである。鬱病気質の人間、放埒な遊び人、なかには本当に処置不可能なサイコパス系。

職業は経営者、開業医、研究者、学生、工員、ヤクザ、ヤク中などさまざま。Sは割と社会的に成功した、年を食った中年くらいの男性に好かれたらしい(なんとなくわかる気がする)。そのときはだいたい、インテリ女子大生のキャラを使う。工員やヤクザのときや、高慢なエリートのときは、バカの振りをするのだという。Sはそのときの経験はとても貴重だと思う、と言った。私も同意した。

それで、どういうわけか、女の性の話になった。私は女の生理現象のことを、一から学んだ。月経のこと、妊娠のこと、また女同士における通常は隠匿される関係のこと。

それで最後にSは、私にこういった。「セックスするときは、ゴムをしなきゃダメだよ」と。それで、「私に子どもができたら、面倒をみなきゃだめだよ」と言われた。文面よりもずっと、軽い感じだけど。

Sと私の関係が、なぜここまでスムーズなのかわからない。潤滑油のよく行き渡った歯車のような関係である。彼女は、私をすっかり理解してしまっているように思われる。また私も彼女をいくらか理解できている。私の世界において、ここまで人と親密になったことはない。奇妙なことだと思う。

私とSは、いつか別れるのだろうか。仲はいいけど、Sは私と一緒になりたいと思っているのだろうか。私は、なるようにしかならないと思っている。あるいは私は、水商売の女に引っかかる、バカな男なのかもしれない。

1 件のコメント:

  1. Sと私の『あいだ』はトクベツなのか、それとも偏在事象の一つに過ぎぬのか?という古典的恋愛命題に解答を出すには、何千年もの観測期間が必要だ、故に人間よ、積極的に諦めるのだ

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