10.30.2016

マクロビオティックとおじさん

さいきん、マクロビオティックという、陰陽学と食育を組み合わせたような思想を調べている。提唱者は桜沢如一で、二次大戦前に創始されたというから、なかなか歴史が古い。

桜沢如一は石塚左玄の影響を強く受けている。石塚は「食は本なり、体は末なり、心はまたその末なり」と述べており、「何を食べるか」の重要性を指摘している。

マクロビオティックによれば、卵や四つ足は陽性、穀物や豆は中性、砂糖や合成薬剤は陰性となる。これは一例であって、すべての食品について陰陽は存在する。というか、世界のすべては陰陽で捉えることができ、男は陽、女は陰、豪傑は陽、聖者は陰、地球は陽、空は陰……まあ何でも陰陽に解釈できるわけで、桜沢はこれを「魔法のメガネ」と読んでいる。桜沢によれば、日本人は近代化でこの「メガネ」を失ってしまったが、本来は自然に陰陽を見分ける力を持っていたのだという。

基本的な陰陽の見分け方は以下の通りになる。
  • 色:紫が陰性、赤が陽性
  • 温度:熱い方が陰性、冷たい方が陰性
  • 硬度:堅い方が陽性、やわらかい方が陰性
  • 重量:重い方が陽性、軽い方が陰性
  • 水分量:水気がない方が陽性、多いほど陰性
  • 運動:上へのびるものは陰性、下へおりるものは陽性
  • 味:渋い、塩辛いものが陽性、甘いもの、酸っぱいものが陰性(「魔法のメガネ」桜沢如一)
しかし陰陽は相対的なものであり、さらに動的なものでもある。陽が極まって陰になる、ということがある。例えば陽性のくだものであるカキを熱すると(陽を加える)、たいへん甘く(陰性に変質する)ということがある。このあたり、太極図の形を思い出すとわかりやすい。(陰中に陽、陽中に陰)




私がマクロビオティックに惹かれた理由は、「自分がいかに陰性に傾いていたか」を知ることができたからである。陰性に傾きすぎても人は病気になるし、陽性でも然りである。陰性が進めば神経症や鬱病になり、陽性の極みはサイコパスということができるだろう(自己反省の欠如)。

たとえば、極めて陰性の飲食物をあげてみよう。アルコール、コーヒー、砂糖、コーラ、ポテト……いままで私が好んで食していたものが、すべて陰性であることに気づいたのである。ああ、これでは神経症にもなってしまうのだな、と思った。いまはこれらすべてを摂取しないようにしているが……。(コーヒーは覚醒作用を持つカフェインを含んでいるから、どうも陽性に感じられるのだが、産地が熱帯であり、身体を冷やす飲み物であることから、極陰性となっており、マクロビオティックではほとんど禁忌の扱いになるようである)。

しかし神経過敏の陰性である私がどうして陰性食品の虜になったのだろうか?これはどうも解せないのだが、どうやら陰性食品は依存性を持つらしい。それで私は陰性食品をひたすら取り込むことになった。結果、神経症はほとんどよくならなかったのだが、さもありなんということである。

ということは、神経症者を治療する、というと大げさだから、「改善」に導く方法は、陽性の食品を多くとる……にんじん、ごぼう、梅干し、たまねぎやかぼちゃなど……そういう生活を送っていれば、少しは楽になるのではないかと思う。

少なくとも、アルコール、コーヒーの摂取は御法度……。西洋薬の抗うつ剤や抗不安薬もどうなのか、ということになる。工業化学で精製される西洋薬もマクロビオティックでは極陰性ということらしいから……。

鬱病患者の「死にたい」という気持ちは、陰が極まって陽に転化したような状態と考えられる。なんとなれば自殺とは究極の能動行為だからである。そういった状態にある患者を、鎮静薬でひとまず落ち着かせるということは重要だと思う。また鬱病も軽度の状態では易怒や攻撃性を見せることがありこういうときにも効果的だろう。

抗うつ剤のなかでもパキシルなどは若年者に服用させるとかえって自殺率を上昇させるという報告があるが、陰性の人間に陰性のものを与えると過度の陽性に転化することがあるのだと思う。

精神疾患においても統合失調症の文字通り「陽性症状」であったり神経過活動が原因であるてんかん症などは薬が奏効するとは思う。ただ鬱病患者には基本的に西洋薬は禁忌であり、それが鬱病治療の決定的な薬が生まれない原因であるようにも考えられる。

だから鬱病患者には、薬を飲ませるよりもにんじんやかぼちゃを食べさせる方がずっとましだ、と言うこともできる……のかもしれない。乱暴か。

マクロビオティックはおもしろい思想である。この考え方が示唆することは、「病気にならなければ何を食べてもよい」という考えは間違っており(気づかないうちに精神や肉体に影響するから)、「人それぞれに合った適切な食品がある」ということである。自分の状態に合わせた最適な食物を選択することが賢く生きるコツなのだろう。

2 件のコメント:

  1. マクロビオティックってアメリカから入ってきたものだと思っていました。まさか日本発信だったとは、、、

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  2. 今は逆輸入という形で入っていますね。

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