10.07.2016

母のエピソード

アホなおじさんはまたSに連絡をして無視された。学習しないバカだなこのおっさんは。

別れとは他人に戻ることであると思う。男女の関係はそのように清算されなければならない。お互いが無関係になり、ばらばらの方向を向く。恋人は家族と違う。もともとが他人だったのだから、関係が壊れれば、他人に戻るのは自然なことだ。

それなのになんとなく寂しいのだからと連絡をするのは、実に失礼なことだと思う。エゴむき出しで醜い行為だ。エゴむき出しなところが嫌われて別れたのに、また連絡をとろうとするなんて、「私は底抜けのバカです」と伝えるようなものだ。Sは別れる決意をしたのだから、私も腹をくくらねばならない。なにも別れを告げられた私ばかりが被害者なのではない。恋愛においては、喜びも悲しみも痛み分けである。

Sが私と他人になろうと決意するまでには、たいへんな苦しみがあったはずである。私はそのことを察することができずに、Sを失望させ続けた。私は悪い人間だった。Sは私に母親のような慈愛をそそいだが、私はただそれに甘える赤ん坊でしかなかった。



ひきつづき、自分の人格的な問題をどうしようかと考えているのであり、「毒になる親」という有名な本を読んでみた。

この本に書かれているほど、私の親ではひどいものではなかったと思うが、しかし私が「神経症」で「対人恐怖気味」であり、他人とうまく信頼関係を築けないことは、その大部分は親や家庭環境に原因があることには違いない。

もっとも、日本では親の影響はアメリカより絶対的ではなくて、学校環境が大きなウェイトを占めているように思われる。思い出すと、ほんとうに私はろくでもない教師にばかり巡り合った。

私の叔母夫婦、祖父母も教師だが、やはり人格的にすこし歪なところがある。見え透いた偽善、凝り固まった教条主義。日本の学校教育は、たびたび指摘されるように不完全で未成熟であるように思われる。そういった硬直した画一的なシステムに組み込まれれば、教師もゆがんでいくのだろうか。あと、私の職場のサイコパス的傾向のある人間も、教職に転向していた。弱者を利用して自分を満足させたい人間が、教師には多いように思われる。

話が逸れてしまったが、私は自分が神経症である原因を、親に求めることにした。これはたぶん、不当なことではないと思われる。

私の家庭ははっきりした暴力や暴言はないものの、抑圧的な環境だった。私の家庭はたとえば、一家が揃う夕食中に、一切の会話がなかった。みなもくもくと食べ物を口に運ぶのだった。私はそれが嫌でたまらず、中学校くらいから丼に飯をよそい、その上に適当なおかずを乗せ、自室に引きこもって食べるようになった。両親は別に何も言わなかった。

その他のエピソード。私の母親は、分離不安が強かったのではないかと思う。何回か書いたことだが、私の母親は家庭内で孤立していた。祖父母との関係はうまくいっていなかったし、父は祖父母の肩をもった。そうしてふたりいる私の兄は、成長して反抗期を迎え、自立を望んでいた。残る希望は私しかいなかった。私は小さな体で母を背負わねばならなかった。

母親は私を強力に縛り付けようとした。私が自我を持つこと、成熟することを恐れていた。

私は自分の部屋を与えられていた。私はそこで、思春期の少年らしく、小説を書いたり、シュルレアリスムっぽい絵を書いたりしていた。エロ本やたばこや女の子からのラブレターをそこかしこにしまいこんでいた。私は当然、それを見られることを死ぬほど恐れた。しかし母親は、私の部屋に忍び込み、それらを覗き見ているようだった。部屋が汚いと、勝手に掃除したりした。

私はそれを知ると、半狂乱になって怒った。勝手に部屋に入るな、と叫んだ。母はそれにたいして、あいまいな返事しかしなかった。部屋が汚いから、とか、入ってない、と否定したりした。私が我慢の限界を迎えたとき、ドアの前にガムテープと段ボールでバリケードを張ったことがある。しかしそれは、すぐに撤去されてしまった!そうして私の部屋への侵入はやむことがなかったのである。

母は私がどれだけ自分ひとりの世界を望んでいるか、理解しなかった。いや、理解していたからこそ、力ずくに抑制した。私へのプライバシーの侵害は、両親が離婚する高校入学までずっと続いた。

今考えてみても、ほんとうに腹が立つことだった。私の内心は、こう叫んでいた。私の自立は、なぜ妨げられなければならないのか!私は自立してはいけないのか!つねに何を考えているか、何をしたいか、覗き見られなければならないのか?……たしかに、母親は私の自立と成長を拒んでいた。ひとりで生きていけない小さな子どもであるよう、私を縛り付けていた。

まあ子どもの部屋への侵入なんて、ありふれたものだと思うが、私がかなり傷ついたエピソードではある。私はいまでも、私の内面を母にpeepingされているような気がしてぞっとすることがある……(それが視線恐怖傾向の原因かもしれない?)



ここまで書いたところで、Sから返事が来てしまった。

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