11.04.2016

鎖のない奴隷

神経症が解消されるとともに生きることが本当に楽になった。

私は自分自身を労り注意深く見守るということを知った。

いままで脈絡なく毒を摂取し続けていた。惰性でポテチや酒をむさぼっていた。マクロビオティックを知ったいまでは、自分の体の状態が「陽」なのか「陰」なのか考えるようになった。陽の場合……過剰な性的衝動、暴力への衝動、いらだち、怒り、不眠、熱感のような傾向がある場合には、陰性の食品を摂る。陰の場合……抑鬱、無力感、倦怠感、無感動、悪寒のような状態では、陽性の食品を摂る。

マクロビオティック、現代ではエセ科学のような扱いだろうけども(東洋医学全般がそうであるように)、下手な栄養学より効果があるように思われる。まあ病は気からというし、プラセボかもしれないけど。

知識は自由へ導くものであることを実感する。人間のほとんどが、自由ではないように思われる。私も二十七年間、不自由に生きていた。知識を積み重ねて、精神的な健康を取り戻した。病気になる原因は、この社会にいくらでもある。思うに、現代ほど病的な時代もないのではないかと思う。国家だとか、経済だとか、このようなものは人間に適切ではないのかもしれない。国家を維持するためには、人間が病気になる必要があり、人間が健康であれば、国家は破綻するのかもしれない。……ヒッピーのようなことを言った。

病的なシステムに依存する病人によって、システムは維持される。そのシステムは、新しい世代を積極的に取りこもうとする。マスメディア、学校教育を通じて、システムによる上意下達が行われる。そうして、奴隷と主人が生まれる。ただ、奴隷は不自由だから奴隷なのではない。自由を求めないから奴隷なのである。奴隷は主人を求める。

神経症者と奴隷の違いを考えると、あまり変わりはないように思われる。神経症者は束縛され、歪な世界観を構築されている。「お前は不適合だ」という烙印を押され、それが当たり前だと考えている。しかし、人間の内奥には、そのようなことを「間違っている」とする本能的衝動がある。「私は正しく、幸福になるべきである」というような、文化的に規制されない、まっとうな精神があるようである。この本能的な衝動と、うわっつらの被支配的な精神が、ぶつかりあって、奇妙な症状を発症する。これが神経症の構造であると思う。

奴隷もたまには一揆を起こしたり、脱走を企てる。しかしそのような試みは我々が思っているよりも少数であると思う。奴隷は、奴隷であることが当然だと考えているから。だから世の中の人々が、「奴隷はかわいそうだ」と言うけれど、奴隷自身にとってはそこまで不幸ではないかもしれない。彼の精神は、ほとんど殺されている。死人は痛みを感じないのである。

神経症者は病人というよりは、ある種の「犠牲者」だと私は考えている。そうでなければ、この病気は読み解けない。なんといっても、神経症者は健康である。健康な人間が、社会的、文化的抑圧によってゆがめられている状態だ。この意味で、神経症者は「鎖のない奴隷」なのである。

もちろん神経症になる素因はある。過敏な神経であれば、神経症になりやすいだろう。ただ、この素因を正しく成長させることが可能であれば、創造的な力は絶大であると思う。鋭敏な神経は、創造性と密接な関係がある。しかしそれがいったん抑圧されると、神経症になり、破滅的な結果となるようである。

本来的な人間に戻ること……生長を望む、一個の自然人に戻ること、これが神経症の治療には大切なのだと思う。

4 件のコメント:

  1.  例えば、自己犠牲についてはどう思いますか?果たすべき責任については?もし、本当は必要ではない忍従を強いられている場合、人は美しい生き方を求めた結果その生き方を選ぶこともあります。奴隷のような消極的諦めとしてのシステムにたいする思考停止と、哲学者や殉教者などが行う、積極的な奉仕の精神とは、仮に両者の行動が同じであったとしても、やはり何か違うのでしょうか?それとも、ただ単に高潔さや満足感などの幻想に酔った自己陶酔というだけで、その両者の意識の持ちようには大差がない、或いはより幻想にとらわれているだけ、奴隷よりも憐れな救いのない存在なのでしょうか?

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  2. その例であれば、奴隷は不幸であり、哲学者は幸福である、という大きな違いがあると思います。奴隷より憐れということはありえません。手段や結果ではなく、目的を吟味する必要があると思います。

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  3. ”私は驚くほど健康になった”
    随分と恢復したようだね
    では、さらなる健康のための知識を伝えよう

    ・汝は米(=穀物。豆は良い)を食べてはならない

    この知識を実行する者は、より清明な意識に到達する。これからは米なんかやめて、ひよこ豆を主食にしたまえ。

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  4. 豆の発想はなかったですね。とりあえずひよこ豆を注文してみました。

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