1.30.2017

機械弄りを好むおじさん

クルマをバックで駐車しようと思ったら、コンクリの壁に派手にぶつけてしまった。軽自動車から大型セダンに乗り換えたのだから、まあいつかやるだろうと思っていた。それがおとといのこと。

昨日はクルマについた傷を補修していた。つまり、傷の部分をヤスリがけし、凹みをパテ埋めし、スプレーで色をつけ、さらに光沢・塗装面保護のため、クリア塗装を施すのである。

こういう作業って、地味だけど楽しい。

私は機械を直すのが好きだ。

もちろん作業は大変である。失敗だらけである。

ボルトをなくす、工具が足りない、パーツで指を切る、想定外のパーツが破損していたり、作業場や衣服をオイルまみれにする、部品交換しても直っていない、どこかでヘマをやらかして一からやり直しになる、最悪修復不可能になる……。

今回の修復作業も、全体の流れはうまくいったのだが、よくみると塗り残しの部分が目立つので、また塗り直さなければならない。

それでも、自分でやりたいのである。カネがかかるから、という事情もあるけれど、自分の道具を直すのは、基本的に自分でやるべきではないか、と私は考えている。

機械をまったく触ろうとしないひとがいる。機械は家電かなにかで、スイッチを押せば動くものだと考える人。

私も、はじめは「機械が壊れる」ということが恐ろしい時期があった。

私が大学時代にはじめてのバイクを買ったときは、バイク屋にもっていって、エンジンの音がおかしくはないか、とか、ブレーキの効き方がおかしいのではないか、とたびたび相談していた。そのたびに何も悪くないとの答えだった。

ようは神経質なので、機械が完全な状態でないと許せないのである。それに、バイクは私にとって大枚はたいて買ったものだから、壊れることが恐ろしいのであった。

バイクのメンテナンスも、自分でやろうなどとは考えていなかった。「弄って修復不可能になる」ということが恐ろしかったのである。

それでもバイクは好きだったから、はじめに買ったバイク以外にも中古でいろいろなバイクを買った。そのほとんどが、今だったら買わないようなポンコツだった。でもたしかに安かった。

ブレーキが固着していたり、ハンドルがスムーズに動かなかったり、サスペンションからオイルが漏れていたりした。

その都度私は、大げさに言ってしまえば絶望した。こんな機械は手に負えない!と投げ出したい気分になった。でも、カネがないから結局自分で直さざるを得なかった。(そう、あのときは、ほんとうにカネがなかった……)

でも、ネットで情報を得ていくと、案外自分でもできそうだ、ということがわかった。そして部品と工具を揃えて、いろいろ弄っているうちに、だんだん機械のことがわかりはじめてきた。

もっとも大切なことは、機械は、人間に直されるために作られている、ということである。壊れたらそれでおしまいなのではない。機械は直されることを待っている。

そしてその修復作業は、けっしてプロでなければできないわけではない。無論プロの方が完全なメンテナンスを行うことができる。しかし素人でも、部品・マニュアル・工具を揃えればどんな作業でも行うことができる。その作業は、ほとんどがせいぜい1,2時間あれば終わるものだ。

もうひとつ学ぶことがある。

機械は一個のテクノロジーの集約である。言ってしまえば合理性の塊のようなものだ。どんな安物のバイクでも(むしろ安物だからこそ)徹底した合理化が図られている。自動車・バイクメーカーの何百人もの研究者、開発者によって極めて効率的に、無駄なく設計されている。

だからバイクや自動車は、一個の芸術品と言ってもよいのである。たとえダイハツの軽自動車だろうと、それを構成する部品のひとつひとつを見ていくと、極めて高度な技術の集約であることがわかる。



そういう機械と対峙するということ。技術の結晶と対峙すること。メンテナンスの途中で心が洗われる気分になるときがあるが、このクオリティを肌身で感じるからだろうと思う。(もちろん、設計のいい加減さにイライラすることもあるが^^;)

いずれにせよ、こういう気分を知らないということは、損だな、と思う。

私の会社のドアノブが、がたがたとゆるんでいた。社長が「業者を呼ばなければな」と言っていた。私が見てみると、ネジを一本増し締めして、簡単に治った、ということがある。

女子社員がハサミの動きが渋くて疲れるというので、会社に潤滑剤がないか探した。なかったので、女子社員が手荒れのために持っていたワセリンを塗ったら、スムーズに動くようになった。それだけでも私が魔法を使ったかのように感嘆されたことがある。

身近にある技術を知らずに過ごす人が、この世の大半であるらしい。もちろんバイクのメンテナンスなんてメカニックに任せればそれで済む話ではある。クルマに傷がついたら板金屋に持っていけばいいだろう。汚い、痛い、つらい、嫌になる作業をしなくて済む。

でもメンテナンスって、楽しいし、心が洗われるような気分になる。それに、一度身についた技術は一生モノである。

なんだかまとまりがなくなったが、機械いじりは楽しいよ、という話だった。それはあんがい、一冊の本を読むよりも、よい体験になるのではないかと思う。

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