6.29.2017

おっさん東京へ またシュルレアリスムか

特に理由もなく東京へ。文化の空気を吸いに。新宿が、実家からアクセスしやすいという理由もある。



美術館巡りをしようと思ったのだが、国立新美術館へ行って、つまらないアマチュア作品と、まあまあ楽しいジャコメッティの作品を見て終わった。ほんとうは東南アジア展が見たかった。ジャコメッティと東南アジアの現代芸術展が併設だと思って、こりゃ良いタイミングに来たわいと思ったら東南アジア展はまだ先で、7月からだというのでがっかりした。

私はジャコメッティという人物を知らなかったがスイスの田舎出身の彫刻家らしい。アンドレ・ブルトンと同時代、ということでシュルレアリスムの系統である。

ジャコさん(パストリアスではない)




私はジャコメッティ展でシュルレアリスムについての整理がついたという気がする。シュルレアリスムによって芸術が民衆を導いたのは事実だけど、その源流はフロイトやニーチェにあるのだと私は考える。

わけのわからないカオティックなもの、人間の論理とは別の論理を持ったもの、おどろおどろしいもの、気持ちの悪いもの、腑に落ちないものを消化する必要がある、と伝えたのがブルトンでありジャコメッティであったのだろう。

しかしそれは大衆向けのニーチェやフロイトであり、シュルレアリスムの回転軸は芸術家であるというより思想家であるように私は思う。

芸術が先か、思想が先か。私は思想よりも芸術がより直感的であり、ゆえに先行することもあると考えているが、フロイトとニーチェはあまりに早すぎた。

その意味でシュルレアリスムの芸術は成功していたと思う。成功していたのだが、すでにニーチェやフロイトの重要性が明らかになり、なおいっそう重要視されている現代においては、いささか陳腐であった。

日本のアマチュア作品は死ぬほど退屈で、金返せといった具合だが、好きな作品もあった。やはり私はセザンヌっぽいのには目がない(写真を撮ったが、画像は控える)。

ナントカ展といって、「日本の若年層の芸術家が集まる会」とかいうから入場してみたが、なかで見学しているのは平均60代、もしかしたら70代といった具合で、国立新美術館では非常によくある身内向けの展覧会であった(よくそのトラップに引っかかる)。

……で、ジャコメッティは銅像だけでなく油絵も描いていて、これは一気に大好きになった。これ一枚で日本のアマチュアを蹴散らせるな~と思っていたら、ジャコメッティもセザンヌ大好き人間だったらしい。

同じ絵画がなかったので、似たもので。


ただジャコメッティの人物像はかなり顔色が悪く、セザンヌ的な温かみはない。ルシアン・フロイドみたいなグロテスクさがある。

しかし私は彫像についてあまり知識がなく、どのように作っているのか知らないので、あまり楽しめなかった。やはりわかることは、それは無意識の表出であるということ。ジャコメッティは言う、「見たままのものを表現したい」と。(セザンヌはまた、「自然にならって絵を描くことは、対象を模写することではない、いくつかの感覚(サンサシオン)を実現(レアリゼ)させることだ」と。)

あの時代の人々は、ニーチェ・フロイトの提示した「無意識」「大地」という強烈なテーマに焦がれていたらしい。


ジャコメッティの女性の彫像は、極端にやせ細っている。その気になれば一突きでへし折ることができるだろう。しかしそれだけに微妙な肉の厚みの変化が強調される。乳房、腰、臀部、腿の肉。一見、女性らしくない。しかしそれだけに女性らしい。つまり、女性らしくないから女性らしい。これは無意識の領域であって、陽が陰であり、陰が陽である。


脱啓蒙思想の系譜……ジャコメッティ、というかシュルレアリスムは一個の通過点であったけれども、それ以上の意味はないと私は思っている。まあ異論はあるだろう。私は美大も出ていないしろくな知識もないから、当てずっぽうだ。

それにしても美術館の目線が団塊世代に目をあてていることがよくわかる。美術館などくるのは老人ばかりだろうし、その世代が好きなのはシュルレアリスムだのフリージャズだの学生運動なのだろう。私は少し退屈してしまう。そういう意味で次回の東南アジア展には期待したいところ。

そのあとは、大学の友人と会った。パブで酒を飲んだあと、赤坂の寿司屋に行って、それでお別れした。友人、意外と稼いでいた。年収500万円くらいと言っていた。なので、奢るつもりだったが割り勘にしてやった笑 私の年収は650万円だったから、大して変わらないだろう。

ニートになったことを言ったが驚くでもなし。まあ気心知れているから気楽なもんである。

日暮里のゲストハウスに就寝。このゲストハウス、安いわりに大浴場がついているし、ドリンクが飲み放題とサービスが良い。もっとも、タイのプール付きホテルが借りられるくらいの宿賃なのだが……。今日はこれくらいにして寝よう。

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