10.26.2017

悩ましいエントロピーの問題。

こんな質問を見つけた。


エントロピーが大きいほど安定で、エネルギーは小さくなる。

しかし、物体の三相においては、

エントロピーは気体>液体>固体
エネルギーは気体>液体>固体

となり、矛盾が生じる。


なぜか?





あれ、ほんとだ!

……なぜだ!?





というのを考えていた。




たしかに氷より水の方がエントロピーは高い。
そしてエネルギーも高い。




基本的な定理からはじめよう。



高温の物体1から低温の物体2に⊿Qの熱が移動するとする。

当たり前だけど、Hから抜けた熱量とLに与えられた熱量は等しい。

エネルギー保存則により、-⊿Q+⊿Q=0



ここでQ/Tで表されるエントロピーを持ち出す。

-⊿Q/T1+⊿Q/T2>0 となる。

T1>T2だから、エントロピーの和は増大することになる。




エントロピーの次元はJ/K、したがって温度をかけるとエネルギーとなる。


ここで自由エネルギーGという状態量を定義すると、

G=H-ST ……Hはエンタルピー、Sがエントロピー。Tは温度。

エンタルピーとはなんぞや……
S=U+PVで表される。Uは内部エネルギー、PVは仕事である。
じゃあ、Uって何?という質問には、ネットで調べると
「分子の中身のエネルギーのことです。原子同士の振動や、結合を介した回転運動、電子のエネルギーなど無数にあります。」 
という説明がよいと思う(引用元)。


ここで、
∆G=∆H-T∆S-S∆T
と表すことができる。

温度一定であれば、

∆G=∆H-T∆S 


この式から自由エネルギーってのは、

エンタルピーが増大すれば大きくなり、
エントロピーが増大すれば小さくなる。

ということがわかる。



では、気体、液体、固体のそれぞれの自由エネルギーはどうなのか。
それぞれGg、Gl、Gsとする。

Gg=Hg-TSg
Gl=Hl-TSl
Gs=Hs-TSs

ここでGを縦軸に、Tを横軸にとってみようと思う。

なお、ここでHやSは温度変化を受けないものとする。


Sg>Sl>Ssであることから、傾きはSg>Sl>Ssとなる。
また、内部エネルギーの関係から、Hg>Hl>Hs

よって、切片をH、傾きがSのグラフとなる。




ここで少なくとも言えるのは、物体のGが気体、液体、固体において大きいか小さいかは、温度による。

……ということ。


これは当たり前であって、150℃の環境においてH2Oは、固体であった方がGは大きく、気体であった方はGが小さい。

現実には圧力や容積の影響も受ける。

以上から、


エントロピーが大きいほど安定で、エネルギーは小さくなる。

という命題が誤っていることを証明できた。

エネルギーが「自由エネルギー」なら合ってるけど、エネルギーと自由エネルギーは別個。

このことは、0度の氷水にQの熱量を加えて、一部の氷が水になったときを考えるとよい。
ここで、∆H=Qと見なせる。氷が溶けたことによるエントロピーのエネルギー変化とQは等しいから、Q=T∆S。したがって、このとき∆G=0。エネルギーを加えても自由エネルギーは変化していない。

自由エネルギーってのは、系や物体に変化が起きるときの駆動力みたいなもんで、自由エネルギー変化が正の値をとる反応(吸エルゴン反応)は絶対に勝手に進行しない。これは宇宙の法則。

自由エネルギーは、固体が気体になるときも正だし、気体が固体になるときも正の値を取る。


うーん、わかってしまえば当たり前なんだけど……

二日ぐらい考えこんでしまった

これですっきりした。

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